現役の西洋灯台では九州最古『部埼灯台』

門司区
北九州市門司区にある、明治時代から現役の灯台『部埼灯台』について紹介します。

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概要

明治初期に建造された現役の灯台

部埼灯台は、門司区白野江の瀬戸内海周防灘に面した場所に建つ灯台です。

真っ白な外観で、見晴らしの良い小高い丘の上に建っています。

日本の灯台50選に選ばれ、2020年には国の重要文化財(建造物)に指定されています。

この灯台の歴史は古く、現役の西洋灯台ではなんと九州最古

「灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンが設計、明治3年(1870年)に建設が開始され、明治5年(1872年)3月1日に完成しています

そして明治から現在まで、関門海峡の東口を照らしています。

江戸末期に日本が開国した際、日本の主要港である兵庫まで外国船が安全に航行できるようにと、江戸幕府がイギリスとの間で締結した大坂約定(大坂条約)で設置を約束した5ヶ所の灯台の1つです。


見どころ

灯台と電光掲示板

真っ白な灯台と付属施設は、明治時代に建設された当時のままで、内部の灯器など一部の機器についても明治時代のものがそのまま使われています。

灯台入り口に残る『明治五年壬申正月二十二日初點』のプレートに歴史を感じます。

灯台のうしろには、部埼潮流信号所の巨大な電光掲示板が設置されています。

この2つの施設で、関門海峡の航海の安全を守っています。

日本でここだけの灯器

灯台は、明かりがついたり消えたりすることで、遠くの船が場所を識別する目印となっています。

部埼灯台では、メタルハライドランプを光源とした連成不動単閃白光という光り方をしています。

これは、ついたままの弱い光と、決まった間隔で光る強い光を組合わせて明滅しているように見せる光り方で、現在でも多くの灯台が採用しています。

他の灯台では、光源である電球にかける電圧を変えることで明滅させていますが、部埼灯台では電球の明るさは変えずに、周りにあるレンズを回転させることで明滅させています

レンズ上帯は不動レンズ、中下帯は6面の閃光レンズとなっていて、このような仕組みのレンズは、日本でも部埼灯台だけとなっています。

レンズは、明治28年(1895年)に設置された当時のものが使われ続けており、フランスのソーターハーレー社製『3等連成不動レンズ』といいます。

不動レンズ:全水平方向に光を出すレンズ。回しても光の強さは変わらない。
閃光レンズ:レンズの中心が向いた方向に強い光を出すレンズ。
部埼灯台では、6面の閃光レンズを水平方向に回して、レンズの中心が向いた方向に強い光を放つような仕組みになっている。

このレンズは非常に重く、回転させるための車輪部分を水銀槽で浮かせて回しています。

回転装置の重さは、水銀も合わせるとなんと約3.5t!

さらに、免振装置や、電球が2個ついていて片方が切れたときの予備になっているなど、絶対に光を絶やさない工夫がされています。


僧清虚火焚場跡と清虚像

部埼灯台ができる30数年前、この場所には僧の清虚が始めた火焚場がありました。

当時、部埼の海は航海の難所で、海難事故が多く起こっていました。

高野山に修行に行く途中にここを通った僧の清虚は、難所であるこの場所で船を降り、托鉢で得たもののほとんどを焚料にして、航海の無事を祈って毎夜火をともし続けました。

その行いは広く知られ、小倉藩や下関の廻船問屋から焚料の寄付があり、清虚が亡くなる嘉永3年(1850年)まで焚火は続けられました。

清虚の没後、灯台ができるまで約20年間は、近くの村人によって焚火は続けられたそうです。

現在、清虚のともした明かりは、部埼灯台の近くで『僧清虚火焚場跡』として復元されています。

実際はこの火焚場跡とは場所が違ったようで、この焚火跡のある山の山頂で焚火をしていたといわれています。

大雨で流出してしまったため、この場所に復元したとのことです。

また部埼の海岸には、僧の清虚をかたどった像が昭和48年(1973年)に有志によって建てられています。

素晴らしい景観

部埼灯台は周防灘を見渡せる場所に建っているので、周辺は大変見晴らしがよいです。

灯台の建っている小高い丘まで登らなくても、駐車場のある海沿いでも十分に見晴らしが堪能できます。

海上には、漁船や驚くほど大きな貨物船やフェリーが多く浮かび、眺めていて飽きません。

注意事項

辺鄙な場所&近くに何もない

地図を見ると、門司港とさほど離れていないように見えますが、門司港方面から道がつながっておらず、白野江方面からしか来ることができません

そのため、北九州市内中央部や下関方面からは、なんとなく行きにくい場所になっています。

部埼灯台の周辺には、コンビニやトイレ、休憩場所といったものがありません

一番近いコンビニでも、4.6km離れた白野江植物公園付近まで戻る必要があります。

内部を見たいときは一般公開の日を狙って

部埼灯台は、普段は内部には入ることができません。

北九州市の広報などから一般公開の日が発表されるので、気になる方はチェックしましょう。

ちなみに2023年は、11月1日の灯台記念日にちなんで、11月3日の文化の日に一般公開がありました

詳細情報

公式サイト https://www.kaiho.mlit.go.jp/07kanku/gyoumu/kaiko/toudai/toudaimeguri/setumei/hesaki/framepage1.htm
営業時間
利用料金 無料
駐車場 広めの無料駐車場あり
住所 〒801-0802
福岡県北九州市門司区白野江 字部埼20-1
お問い合わせ 093-321-1481

近くの見どころ

白野江植物公園
門司港レトロ

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